滋賀医科大学放射線科 村田 喜代史
このたび、理事会におきまして、本機構の3代目の代表理事に選任されました村田喜代史です。
本機構は、初代の代表理事でありました長尾啓一先生の多大なるご尽力によって、日本国内における肺がんCT検診レベルの向上をめざして、2009年4月に設立されました。機構では、その目的を達成するために肺がんCT検診認定医および認定技師の制度を立ち上げ、人材育成を進めてきましたが、認定医および認定技師の数は年々着実に増加し、現在、認定医師1346名、認定技師1250名を数えています。さらに、2代目の代表理事になられた金子昌弘先生のもとで認定施設制度の検討が進められ、2018年4月より認定施設制度を開始することとなりました。認定医師と認定技師によって、基準を満たした認定施設によって肺がんCT検診が実施されるという制度設計がようやく日本に整備されたことになります。
本機構ならびに認定施設を土台として、本格的に日本国内における肺がんCT検診の標準化を目指した取り組みをスタートさせる、このタイミングで3代目の代表理事を務めさせていただく事になり、私自身、非常に身が引き締まる思いであるとともに、責任の重大さを感じております。この務めに全力で取り組みたいと考えておりますので、皆様のご協力をよろしく、お願いいたします。
一方、海外に目を向けますと、米国では、2011年のNLST の報告の後、しばらくの間は大きな動きがなかったのですが、各種のガイドラインの中で、肺がんCT検診が推奨されるようになると急速に体制整備が進んできました。ACR ( American College of Radiology)が認定するLung Cancer Screening Centerが肺がんCT検診の実施主体となり、公的医療保険制度であるMedicareが費用をカバーする体制が出来上がっています。またヨーロッパでも、NELSON研究の結果が待たれてはいますが、最近肺がんCT検診の実施に前向きな報告がでています。
本機構では、このような海外の動向にも注意を払い、情報も取り入れながら、日本国内における肺がんCT検診の質的向上に取り組んで行きたいと思っています。しっかりとした精度管理が伴っていてこそ、検診効果が期待できる訳ですから、まず、日本国内において実施される肺がんCT検診のほとんどが含まれるような認定施設のネットワークを作り上げたいと考えています。そして、その中で、機構や認定施設間での情報のやりとりを通して、CTの撮影や読影の体制、精度管理などが全国的に標準化され、向上する体制にしていきたいと考えています。
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